今野 敏の考える理想のウイスキーグラスとは?

ウイスキーを愛するミステリー作家と
ガラスの謎を知り尽くす菅原工芸硝子の職人が挑む、
グラス開発プロジェクト。(このプロジェクトは日本推理作家協会のご協力のもと、実現しました)

『安積班』や『隠蔽捜査』などの大人気シリーズを抱え、
警察小説の第一人者として知られる作家・今野 敏氏。
学生時代には剣道や茶道を学び、その道を究めた空手では
1999年より自身が師範を務める「空手道今野塾」を主宰。
“和”の文化に深く親しんできた今野氏のグラスは、
どことなく“和”の美しさを纏っているように感じられます。
そこに宿された想いやこだわりとは?さっそくご紹介しましょう。

今野 敏(こんの びん)
1955年生まれ。北海道出身。上智大学在学中の1978年に『怪物が街にやってくる』で第4回問題小説新人賞を受賞。
卒業後、レコード会社勤務を経て執筆に専念し、2006年『隠蔽捜査』で第27回吉川英治文学新人賞を受賞。
2008年『果断 隠蔽捜査2』で第21回山本周五郎賞、第61回日本推理作家協会賞を受賞。
ドラマ『ハンチョウ』や『ST』など、作品の数々が映像化されており、本格警察小説の書き手として広く支持されている。
2013年より、日本推理作家協会の理事長を務める。

Inspiration やきものに通じる自然の美

35年を越える作家生活の中で数々の作品を創りあげてきた今野氏。グッズ開発を手掛けるのは初めての経験となりました。パートナーとなる菅原工芸硝子の職人からガラスの性質や製造工程の説明を受ける中で、ひとつの発見があったといいます。それは、ガラス作品とやきものの共通点。熱で溶けたガラスが見せる滑らかな曲線、熱に反応して予測のつかない表情を描くやきものの釉薬。どちらも、素材の自然な動きや一瞬の美を捉えています。

Partner 卓越した技を持つ精鋭チーム

今野氏が思い浮かべたのは、かの有名な茶人・千利休が好んだ「黒楽茶碗」でした。
『ふっくらと丸みを帯びた茶碗のようなフォルムに、釉薬を想わせるガラスの自然な表情を組み合わせる』。今野氏から職人に伝えられたオーダーは、これまでに前例のない難題でした。
その難題に挑んだのは、高度な技と豊富なアイディアを持つ精鋭チーム。幾度も試作を繰り返し、理想を追い求めました。

Shape ウイスキーの香味を際立たせる形

『茶碗のような印象を目指すものの、ウイスキーとの相性を第一に考えたい』。
オン・ザ・ロックで愉しむには、持ちやすさや氷の収まりを考慮する必要がありました。側面の立ち上がりや飲み口の勾配など、細部にまで心を尽くした[楽]は、薄く色づけられたグラスに透明のガラスを巻き付け、自然に生まれる表情をいかしたものとなりました。ガラスを二層に重ねながら飲み口をすぼめることは、これまで不可能とされていた組み合わせ。職人たちの意地が実らせた唯一無二のシェイプです。

Feeling 繊細な「和」の文化を感じながら

茶道の世界で最高位とされる「黒楽茶碗」に着想を得たこのグラス。重なり合うガラスが絶妙なグラデーションを描き、奥ゆかしくも風格のある佇まいです。どことなく漂う“和”の雰囲気は、茶道に親しむ今野氏ならではの個性といえるでしょう。和の空間や器との相性も抜群。枠に捉われない懐の深さも感じられます。このグラスに授けられた名は[楽]。『人生、楽しんだ者勝ち』。いたずらっぽく話す今野氏の表情は、満足感に満ちていました。

×Book 『マティーニに懺悔を』著者:今野 敏(ハルキ文庫)

物語が動きだすのは、ワケあり男たちが集ういつものバー。茶道の師匠を本業とする主人公や、アイリッシュ・ウイスキーをこよなく愛する教会の神父。個性豊かなキャラクターに魅了される、ハードボイルド小説の傑作です。張りつめた空気が満ちるお点前シーン、鮮やかな情景が脳裏に浮かぶ武道シーンなど、今野氏の経験に裏付けられた巧みな描写に唸らされること間違いなしです。

『マティーニに懺悔を』著者:今野 敏(ハルキ文庫)

謎 Nazo

ガラスの美、楽を成す

茶碗は、一楽二萩三唐津と言われる。最高位の黒楽茶碗をイメージして、和テイストのグラスを作ってもらった。楽という言葉に、いろんな意味を感じる。人生、楽しんだ者勝ちだ。また、楽には音楽の意味もある。ジャズでも流しながら、このグラスで至福のウイスキーを楽しみたい。 今野 敏

  • 下半分が2層になっているのが
    分かるでしょうか。薄く色づけされた
    グラスの上に、透明のガラスが
    巻きつけられています。

  • 重なりあうガラスの
    絶妙なグラデーションや
    少し揺らいだ巻き目のラインは、
    世にふたつとない自然の表情です。

  • 上質な印象を与えるグラス底の厚み。
    美しい輝きや
    程よい重みを持たせるため、
    職人たちが最も苦労した点なのだとか。

今野 敏「謎」グラス商品詳細を見る。

  • <社団法人 日本推理作家協会>
    ミステリーと関わりのある作家・評論家・翻訳家・漫画家など、エンタテインメントの担い手が結集した文芸団体。1947年、江戸川乱歩を中心に設立された探偵作家クラブを前身としており、現在630名を超える会員が所属している。

  • <Sghr 菅原工芸硝子>
    1932年の創業以来、ハンドメイドに徹したものづくりを続けるガラス製品メーカー。千葉県九十九里に工房を構え、高度な技を持つガラス職人の手で、高品質かつ創造性豊かなラインナップを多数生みだしている。

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