バーボンの故郷・ケンタッキー州に現存する中で最も小さく、最も由緒のある蒸溜所として、アメリカ合衆国の国定史跡に指定されているメーカーズマーク蒸溜所。その歴史の幕は、スコッチ・アイリッシュ系(現北アイルランド)移民のひとり、ロバート・サミュエルズがケンタッキーにたどり着き、1780年に自家用ウイスキーづくりをはじめたことで開かれました。南北戦争や禁酒法時代など、苦難の中でも想いは脈々と受け継がれたのです。
そして1951年、世界で評価される最高品質のバーボンを探究していた6代目ビル・サミュエルズ・シニアがつくり始めたのが、現在に続く「メーカーズマーク」です。一般的なバーボンが持つのは、スパイシーかつビターで素朴な味わい。一方「メーカーズマーク」が目指したのは、スイートでスムーズな味わいでした。ライ麦の代わりに冬小麦を使うことで、コーンや小麦の甘味がいきた、まろやかでふっくらとした味わいを生み出すことに成功したのです。
「メーカーズマーク」のラベルには、サミュエルズ家が受け継いできた精神や想いの全てが記されています。たとえば、頭文字「S」を組み合わせたマークを囲う円には途切れた部分があります。これは、南北戦争や禁酒法により、一時的に操業が停止したことを物語っています。