製麦〜発酵 - 大切な原料たちが、はじめて出会うとき。-
ザ・マッカランの製造は、原料となる大麦で麦芽をつくることからはじまります。専用に用意された大麦をスティープと呼ばれる温水槽に約48時間浸すことによって細胞を柔らかくし、栄養分を蓄積。5日間かけて大麦を発芽させたあと、キルンと呼ばれる乾燥塔で乾燥させ、ウイスキーづくりに最適な状態で大麦の成長を止め、麦芽を完成させます。 麦芽は細かく砕かれ、清涼な湧き水を使ったお湯とともに、マッシュタンと呼ばれる糖化槽へ。この工程では温度の違うお湯を3回加えながらかき混ぜることで、麦芽のでんぷんを糖分に変えます。できあがった甘い液体はウォートと呼ばれ、つぎの発酵過程に進みます。 ウォートはイースト菌と一緒に、ステンレス製の発酵槽へ。ザ・マッカランは、この発酵過程で異なる2種類のイースト菌を使い、その働きによってウォートの糖分が分解され、アルコールが生成。イースト菌が順調に活動できるように綿密な温度管理をしつつ、約48〜56時間をかけてアルコール分8%のビールに似たウォッシュと呼ばれる液体ができあがります。
蒸溜 - スペサイドの最小釜で、丁寧に、注意深く。-
これまでの工程でつくられたウォッシュは、2度の蒸溜過程を通じてアルコール分を高め、精錬されていきます。蒸溜に使われる蒸溜釜は、ザ・マッカランの品質を形作るこだわりのひとつ。スペイサイドで最も小さいといわれている銅製の蒸溜釜で、丁寧に蒸溜することによって濃くオイリーなザ・マッカランのニューメイクスピリッツができあがります。その味わい深く濃いスピリッツは、これからはじまる気の遠くなるほど長い樽での熟成に耐える力を持ち、華やかな個性や長期熟成による類まれなる品質のベースとなっています。 また、ザ・マッカランの原酒となれるのは、全蒸溜液のわずか16%。最初と最後に出てくる蒸溜液には十分な成分が含まれていることがないため、中間に抽出される厳選された部分だけしか使用しません。このファイネストカットと呼ばれるザ・マッカランのこだわりは、本当にいいものだけしか使わないという信念を象徴しています。
樽へのこだわり - 徹底管理して完成された、理想のゆりかご。-
ザ・マッカランがもっとも大切にし、こだわっていることは、熟成に使う樽の品質です。ザ・マッカランの大部分で使われるヨーロピアンオーク樽とアメリカンオーク樽は、自社で管理する森林で伐採されたあと1年ものあいだ天日で乾燥され、スペイン南部で手作業の加工によってシェリー用の樽に。さらに、専用のシェリー酒を3年間詰め、熟成させてはじめて完成します。このように、原木からシェリーのシーズニングまですべてを自社で管理して手間ひまをかけ、ザ・マッカラン専用のシェリー樽をつくっているのです。 また、ウイスキーの製造責任者と同格の樽管理責任者という役職を置き、熟成に使う樽の品質の徹底的な管理を実現。できあがるウイスキーの味、香り、風味に、樽の品質が大きな影響をあたえることを十分に理解しているからです。
熟成〜製品へ - 長くおだやかな眠りから覚め、栄光の銘酒へ。-
丁寧に蒸溜されたニューメイクスピリッツは、厳格に管理された高品質の樽に詰められ、長い長い眠りにつきます。そのゆったりとした熟成の中で、ザ・マッカランは華やかで重厚な味わいへ。できあがる原酒の個性や色は、樽の品質や貯蔵の状況によって、さまざま。ただ、ザ・マッカランは着色料を使わずに、自然の色であることにこだわります。あの、濃く華やかな色合いは決して人工的につくられたものではなく、あらゆる原酒を神業ともいえる絶妙のバランスでバッティングしてはじめて、実現されるもの。 また、原酒は毎年、ザ・マッカランの職人であるウイスキーメーカーたちが熟成状況をチェックし、製品として世に出せる最適のタイミングをはかっています。倉庫には、じつに50年を超える原酒も存在。 このように、原料から製造・貯蔵まで一貫してこだわり抜くことで、世界でも類まれなる評価を博すザ・マッカランが生まれるのです。