グラス・エデュケイター・白水 健氏に聞く グラスで変わるクラフトビールの味わい

香りや味わいにさまざまな特徴がある、クラフトビールの世界。そのおいしさを最大限に引き出し、楽しみながら飲んでほしいと誕生したのが、グラスウェアブランドSPIEGELAU(シュピゲラウ)の開発したクラフトビール専用グラスセット<クラフトビールグラス>『テイスティング・キット』です。なぜいま、このグラスたちが誕生したのか、そして専用グラスだとビールの味わいがどのように異なってくるのかを、グラス・エデュケイターの白水健氏にうかがいました。
クラフトビールの魅力を 最大限に生かすグラスとは?

ビールといえば、これまで「注がれたらすぐ飲む」というイメージが主流でした。もともとクラフトビールのシェアが多いアメリカのパブなどでは、大きめのタンブラーが多く使用されてきました。いわゆるパイントグラスという分厚いグラスで、お店にとって重ねやすく、そのためたくさんのビールを提供できるという点から利用されているものです。

しかし「このグラスでクラフトビール独特の香りや味まで、おいしく味わえているのだろうか?」という疑問が起こります。実際、これまでにも世界ではヴァイツェンやピルスナーといった、ビールのための専用グラスが作られてきました。そこでシュピゲラウは、グループブランドであるワイングラスカンパニー「RIEDEL(リーデル)」のグラス開発プロセス“ワークショップ”(テイスティング)を通じ、クラフトビールの個性を最大限に引き出すグラス開発に携わることになったのです。

シュピゲラウは、クラフトビール・ムーブメントの中心地アメリカでも積極的にブルワリーとのコミュニケーションを深めて行きました。そこで出会ったのが、その地で独自の進化を遂げ、クラフトビールのある種「象徴」ともされるビール「IPA(インディア・ペール・エール)とその素晴らしい作り手たちでした。シュピゲラウと彼らは手を取り合い、IPA独特の強い苦味とホップの香りを十分に伝えるグラスの開発に取りかかりました。

そうして誕生したのが『インディア・ペール・エール』グラスです。ビールを入れてグラスをつかむと分かるのですが、ひんやりとしたビールの温度を感じることができる薄さが特徴です。ビールは、実は薄いグラスのほうが冷たさをキープできるんです。意外に思われるかもしれませんが、パイントなどの厚手のグラスはグラス自体に温度が移って、ぬるくなりやすいんですよ。

このグラスで、シュピゲラウはクラフトビール業界において大きな成功を収め、続いて、様々なビールのスタイルに合わせたグラス開発に乗り出していきました。

CRAFT BEER GLASSES
  • ビールの溜まるボウル状の部分が広く、グラスのふちが少し狭くなっているために香りが逃げにくく、I.P.A独特の南国のフルーツの様な香りとスパイシーな風味をじっくり楽しむことができます。
    うねり状になった持ち手部分は、グラスを傾けたときにわずかな隙間ができるように設計されており、その部分から再びビールの泡が出てくる「リチャージ」が起きるようになっています。そのため、独特の苦みも爽快感とともに心地よく感じられます。

  • ゴクゴク飲むというよりも、じっくりと味わいを楽しむ黒ビール(スタウトビール)専用に作られたグラス。『IPA』より太めのスタイルで、大きめのボウルはスタウトビールの個性であるボリューミーなモルトの香りとともに、クリーミーな泡を楽しめるように作られています。ワイングラスのように、ゆっくりとビールがグラスの内側につくようにグラスを回して、ぜひその香りを楽しんでみてください。

  • 他の二つのグラスと見た目も大きく異なるこのグラスは、小麦を使ったウィートビールの最大の特徴である、酵母によるバナナやピーチを思わせる「エステル香」を届けてくれます。持ち手は短く作られ、どっしりとしたボウル部分から立ち上る果汁感の風味と、アクセントになっているスパイスの香りもぞんぶんに楽しめます。

どのグラスもボウル部分が大きめに作られていますが、それはグラスのふちまでたっぷりビールを注いでしまうと香りを楽しめなくなるから。これらのグラスたちなら350ml缶を注いでもじゅうぶんな余裕があるので、飲みごたえがありながら、それぞれ独特のフレーバーを感じられるのです。

グラスはあえて冷やさず時間による味わいの変化を楽しんで

これらの特徴あるグラスたちと一緒に自宅で「家飲み」する場合、注意してほしいことがあります。それは「冷蔵庫などでグラスを冷やさないこと」。一般的にタンブラーなどを冷やしておいてからビールを注ぐとおいしいと言われますが、専用グラスの場合、冷蔵庫に入れると中に入っている食品などの香りが移ってしまい、ビール本来の香りを邪魔してしまうことがあるんです。そのため、ビールを「うわっ、冷たい!」と感じるくらいによく冷やしておきましょう。

実は、クラフトビールは温度によって味わいが変化することも魅力のひとつ。最初は冷えた温度で楽しみながら、徐々に温度が上がっていくにつれてワインのように変化する味の違いも発見してほしいと思います。

大切なことは、醸造家による「ここをお客様に楽しんでほしい」という部分を、このスタイルのビールにはこのグラスというふうにガイドラインとして知っておいて損はないということ。家で飲むときにどんなグラスで飲むか、どのくらいの量を楽しむのかは飲み手次第。そこで、実はグラスの形によってこんなにも味わいが変わるのだということを知ってもらえればうれしいですね。

ゆっくりとクラフトビールの特徴を味わえる、家飲みならではの時間をぜひ過ごしてみてください。

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